6. 巫女・芸能・舞・機織りの女神
舞や音楽、織物など芸や技を象徴する女神を集め、祈りや芸能との関係性を示す名前の由来を整理しています。創作のモチーフにも活かしやすい特徴が並ぶ内容です。
- 万幡豊秋津師比売命(よろずはたとよあきつしひめ)
「幡(はた)」=織物に関わる名を持ち、機織りや布づくりの技を司る女神。衣服文化を支える重要な神格として位置づけられます。 - 天羽槌比売(あめのはづちひめ)
天の羽づち(鍛冶・祭器)を象徴する女神で、祭祀や工芸に関わる技術を守護します。神事の道具づくりを導く存在です。 - 大宮能売神(おおみやのめ)
宮中の祭祀を支える巫女的な神格で、儀式や神楽の芸能を司る女神。社殿と儀礼の守護者として信仰されています。 - 天宇受売命/天鈿女命(あめのうずめ)
天岩戸の前で舞を踊ったことで知られる芸能の神で、ダンス・芸術・笑いを司ります。巫女の起源ともされる明朗な女神です。 - 天探女(あめのさぐめ)
占いや吉凶を告げる女神で、天の兆しや神意を読み取る役割を持ちます。占術・祈祷に関わる巫女的存在です。 - 天棚機姫神(あまのたなばたひめ)
天上の織女として知られ、機織り・裁縫を司る女神。星の伝承「織姫」に連なる神格とも言われます。 - 栲幡千千姫命(たくはたちぢひめ)
織物の名「栲幡(たくはた)」に由来する機織りの精霊的な女神。衣服の文化、繊維技術を象徴します。 - 石凝姥命(いしこりどめ)
鏡を作った神として知られ、金属工芸や鏡奉製を司る技芸の女神。アマテラスの天岩戸神話でも重要な役割を担います。 - 綾門日女命(あやとひめ)
「綾」=文様に関連する名を持ち、織文様や工芸の美を司るとされる女神。繊細な技術や美意識の象徴として伝わります。 - 金屋子神(かなやこ)
鍛冶・製鉄を司る女神で、金属加工や刀剣づくりを導く存在。職人の守護神として強い信仰を集めます。
7. 縁結び・婚姻・祖先を象徴する女神の意味
人のつながりや愛情、家族の守りに関わる女神をまとめ、名前が示す意味や背景を紹介しています。良縁や家庭運に関心のある人が知っておきたい種類が一度に見渡せます。
- 倭迹迹日百襲姫命(やまとととひももそひめ)
大和の巫女王として知られ、神託を受ける力を持つ神聖な姫。政(まつりごと)や国家の守護と深く結びつき、祖先神として崇敬されます。 - 弟橘比売命(おとたちばなひめ)
夫・日本武尊のために海に身を投じた献身の女神。深い愛と犠牲の象徴として、夫婦和合・良縁の守護神とされています。 - 手名稚命・手摩乳命(てなづち・てなづち)
スサノオに娘を託した夫婦神で、家族の結束や家庭防護を象徴します。古い家族神として、家内安全に関わる存在です。 - 櫛名田姫神(くしなだひめ)
八岐大蛇の伝承で知られる縁結びの女神。スサノオの妃となり、夫婦和合・家族繁栄の守護として広く信仰されます。 - 玉依姫(たまよりひめ)
神霊「玉(たま)」を寄せる巫女的性質を持つ女神で、祖先の血筋を繋ぐ母神。縁結び・子授け・家系の守護に関わります。 - 真玉著玉之邑日女命(またまつくたまのむらひめ)
「玉(霊)をまとい宿す姫」の名を持つ祖先神的な女神。地域や氏族の繁栄を見守る守護神として伝わります。 - 天豊足柄姫命(あめのとよたらしからひめのみこと)
豊かな恵みと安定を象徴する女神で、皇統の祖先神と結びつくこともある存在。家庭や一族の繁栄を象徴します。 - 須勢理毘売命(すせりびめ)
スサノオの妻となった女神で、婚姻と家庭守護の象徴。強い絆や夫婦円満を守る神格として親しまれています。 - 吾田媛(あたひめ)※松尾大神系の婚姻伝承に関わる姫神
地域の土地神としても信仰されますが、神話では婚姻にまつわる伝承を持つ姫神。家庭運・地域守護の両面を担う存在です。 - 伊耶那美命(いざなみ)
国生みと神生みをおこなった母神で、生命の源を象徴する根本的な女神。母性・家族形成・祖先の守護に深く関わります。 - 比売大神(ひめのおおかみ)
女性神全体を象徴するような「姫神の総称」で、縁結び・母性・守護の力を広く持つ存在。詳細は不明ながら、社伝では良縁の神として扱われます。 - 矢乃波波木(やのははき)
箒(ほうき)に宿るとして知られる神さまです。生活に身近な屋敷神で安産の神としての側面も持っています。
8. 祓い・境界・鎮魂を司る女神一覧
災いを祓い、境界を守る働きを持つ女神を取り上げ、浄化や守護にまつわる意味を整理しています。安心や清らかさを象徴する神格を知ることで、信仰の背景がより掴みやすくなります。
- 菊理姫(くくりひめ)
黄泉比良坂でイザナギとイザナミの間を“取り持った”調停の女神。縁を「くくる」力を持ち、浄化・和解・結界の象徴として深い信仰を集めます。 - 泣沢女神(なきさわめ)
亡くなった者を悼み涙を流す女神で、鎮魂や死者への祈りを象徴します。涙による清めと慰めの力を持つ、静かな霊的存在です。 - 神屋楯比売(かむやたてひめ)
「楯(たて)」の名を持つ防御の女神で、悪しきものを寄せつけない守護の力を象徴します。家や土地を守る結界神の性質が強い神格です。 - 速佐須良比売神(はやさすらひめ)
災厄や穢れを速やかに払い除ける祓いの女神。離れていく「さすらい」の力を象徴し、厄除け・清めの神として祀られます。 - 瀬織津姫命(せおりつひめ)
水の流れとともに穢れを祓い流す女神で、祓戸四神の一柱。急流の強い浄化力を司り、古来より祓い清めの中心的存在として崇敬されます。

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