いろは歌(いろはうた)は、重複なく全ての仮名を使用して作られた47字の誦文で、七五調の韻文となっています。作者は不明ですが、10世紀末から11世紀半ばの間に成立したとされています。この歌は、手習いの手本として広く受け入れられ、近代に至るまで用いられました。また、その仮名の配列は「いろは順」として、中世から近世の辞書類や番号付け等に広く利用されました。
ここでは、いろは歌の内容やその訳を紹介していきます。
いろはにほへと ちりぬるを
わかよたれそ つねならむ
うゐのおくやま けふこえて
あさきゆめみし ゑひもせす
いろは歌の内容
色は匂(にほ)へど 散りぬるを
我(わ)が世(よ)誰(たれ)ぞ 常(つね)ならむ
有為(うゐ)の奥山(おくやま) 今日(けふ)越(こ)えて
浅(あさ)き夢見じ 酔(ゑ)ひもせず
いろは歌の意味
花は鮮やかな色彩で咲き誇るが、いずれは散ってしまう
人間の生命も同様に、永遠に続くことはない
人生の困難な山を 今日乗り越えて
浅薄な夢を追わず、酔いしれたりしない
暗号説
いろは歌には、作者が七文字ごとに区切って暗号を埋め込んだという俗説が存在します。この説によれば、いろは歌を七文字ごとに区切り、その区切りの最後の文字を縦読みすると、何らかのメッセージが現れるとされています。また、五文字目を続けて読むと「ほをつのこめ(本を津の小女)」となります。
- いろはにほへと
- ちりぬるをわか
- よたれそつねな
- らむうゐのおく
- やまけふこえて
- あさきゆめみし
- ゑひもせす
「とかなくてしす(咎無くて死す)」
- いろはにほへと
- ちりぬるをわか
- よたれそつねな
- らむうゐのおく
- やまけふこえて
- あさきゆめみし
- ゑひもせす
「ほをつのこめ(本を津の小女)」
上記のことから、讒言で大宰府に左遷された源高明が作ったとする説、柿本人麻呂を作者とする説があるようです。しかし、この説はあくまで俗説であり、確固たる証拠があるわけではありません。また、いろは歌の作者自体が不明であるため、この暗号が作者によるものであると断定することは難しいです。
それにもかかわらず、この俗説はいろは歌の神秘性を高め、多くの人々の興味を引きつけています。この暗号が実際に存在するのか、また存在するとしたら何を意味するのか、それは未だに解明されていない謎の一つです。
以上 いろは歌についてご紹介しました。『いろはにほへと』まではよく知られていますが、そこから先がわからなかったり、その文に内容があること知らなかった人はこの機会に日本の伝統の知識の1つとして学んでみては如何でしょうか?
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