伝説や神話に登場する生き物は、古代から現代に至るまで、世界中の民話や文化に深い影響を与えてきました。本記事では、動物や怪獣、霊的存在、人工的に創られた生き物など、各ジャンルごとに分類された伝説の生き物リストを詳しく紹介します。日本、ギリシア、エジプト、北欧、アフリカ、アジア、アメリカなど、地域ごとの伝承背景や日本語読み、特徴的な概要を解説することで、読者の皆様に各伝説の魅力を深く理解していただける内容となっています。
伝説や神話に登場する生き物一覧
1. 動物系の生き物
A. 海洋・水棲系の巨大生物
- Aspidochelone (アスピドケローネ)
- 伝承・国名: 古代ギリシア伝承
- 概要: 島ほどの大きさのクジラとして描かれ、船乗りに危険を知らせる存在とされる。
- Bahamut (バハムート)
- 伝承・国名: アラビア伝承
- 概要: 地球を支える巨大なクジラ型の怪物。Behemothの語源説があるとされる。
- Bake-kujira (バケクジラ)
- 伝承・国名: 日本伝承
- 概要: 幽霊のように現れるクジラ。海上での不吉な予兆として語られる。
- Cetus (セトゥス)
- 伝承・国名: 古代ギリシア伝承
- 概要: イノシシや猟犬の頭、クジラやイルカの体、扇状の尾を持つ怪物。英雄譚や海の危険の象徴として登場。
- Devil Whale (デビル・ホエール)
- 伝承・国名: 英語圏(主にイギリスなど)
- 概要: 船を丸呑みするとされる伝説上のクジラ。海の恐怖を象徴する怪物。
B. その他の水棲・半水棲生物
- Dobhar-chú (ドバル・クー)
- 伝承・国名: スコットランド伝承
- 概要: 王のようなカワウソとされる存在。伝承では怪異な生物として恐れられている。
- Encantado (エンカンタド)
- 伝承・国名: ブラジルを中心とした南米伝承
- 概要: イルカが変身したとされる存在。魅惑的でありながら、いたずらや誘惑の面を持つ。
- Glashtyn (グラシュティン)
- 伝承・国名: ケルト伝承(主にブリテン諸島)
- 概要: 海から現れる、馬に似たゴブリン。海の荒々しさや謎を表現している。
- Gveleshapi (グヴェレシャピ)
- 伝承・国名: グレゴリアン(ヨーロッパ内の伝承)
- 概要: 湖や川、泉にまつわる伝説の怪物。蛇とクジラの特徴を併せ持ち、洪水など水害の原因とされる。
- Lavellan (ラヴェラン)
- 伝承・国名: スコットランド伝承
- 概要: 毒性を持ち、家畜を遠くからも傷つけるとされる水辺の小動物。実在する水ネズミ伝説が発展したとも考えられる。
- Makara (マカラ)
- 伝承・国名: ヒンドゥー教・インド伝承
- 概要: 前半が鹿や象などの陸生動物、後半が魚、アザラシ、蛇などの水生動物という複合獣。寺院や彫刻にも多く登場する。
- Sea goat (シー・ゴート)
- 伝承・国名: 古代ギリシア伝承
- 概要: 半山羊・半魚の存在として描かれる。以下は【水馬】としてのサブカテゴリの例:
- Ceffyl Dŵr (ケフィル・ドゥル)
- 伝承・国名: ウェールズ伝承
- 概要: ウェールズに伝わる水馬。湖や川に住むとされる。
- Each-uisge (エッチ・ウィスゲ)
- 伝承・国名: スコットランド伝承
- 概要: 悪意ある変身能力を持つ、海の水馬として恐れられる存在。
- Enbarr (エンバール)
- 伝承・国名: アイルランド伝承
- 概要: 陸海両用の神秘的な馬。海上や岸辺を自由に行き来するとされる。
- Hippocampus (ヒッポカンパス)
- 伝承・国名: 古代ギリシア伝承
- 概要: 魚の尾を持つ馬。神話や美術にしばしば描かれる。
- Ichthyocentaurs (イクチオセントールズ)
- 伝承・国名: 古代ギリシア伝承
- 概要: 上半身は人間、下半分は馬に魚の尾を持つハイブリッドな存在。
- Kelpie (ケルピー)
- 伝承・国名: スコットランド伝承
- 概要: 水辺に出没し、人を引きずり込むと伝えられる水馬。
- Morvarc’h (モルヴァルク)
- 伝承・国名: ブルトン(ブルターニュ)伝承
- 概要: 波の上を駆ける伝説の馬。海の精霊的な存在として語られる。
- Nixie (ニクシー)
- 伝承・国名: ドイツ系伝承
- 概要: 水の精が馬に変身する姿として現れる。
- Nuckelavee (ナックラヴィー)
- 伝承・国名: オークニー諸島(スコットランド)伝承
- 概要: 肌がない恐ろしい海の水馬。疫病や不作の原因とされる。
- Nuggle (ナグル)
- 伝承・国名: スコットランド伝承
- 概要: いたずら好きな雄の水馬。子供たちの間で語り草となる。
- Tangie (タンジー)
- 伝承・国名: スコットランド伝承
- 概要: 変身能力を持つとされる海の水馬。伝説や民話に登場する。
C. 小型の伝説生物や昆虫・甲殻類
- Carbuncle (Chilote) (カーバンクル)
- 伝承・国名: チローテ諸島(南米・チリなど)伝承
- 概要: 緑赤色に輝く光を放つ存在。ホタルに例えられることもある。
- Karkinos (カルキノス)
- 伝承・国名: 古代ギリシア伝承
- 概要: カニ座(Cancer)の由来とされる、巨大なカニの怪物。
- Gold-digging ant (ゴールド・ディギング・アント)
- 伝承・国名: 古代ギリシア(ヘロドトス記述)
- 概要: エチオピアまたはインド大陸に生息し、金を掘ると伝えられるアリ。
- Khepri (ケプリ)
- 伝承・国名: 古代エジプト伝承
- 概要: 太陽を押す甲虫。再生や新たな始まりの象徴として崇拝された。
D. 神話に登場する昆虫的・小型の生き物
- Mothman (モスマン)
- 伝承・国名: アメリカ(主に西部・中西部)伝承
- 概要: 蝙蝠の翼を持つ人型の怪物。近年、各地で目撃情報が取り上げられている。
- Myrmecoleon (マーミコレオン)
- 伝承・国名: キリスト教・ヨーロッパ伝承
- 概要: アリとライオンが合わさった怪物。寓話的な意味合いを持つ。
- Myrmidons (マーミドンズ)
- 伝承・国名: 古代ギリシア伝承
- 概要: ゼウスがアリから創造した戦士集団。英雄伝説における一要素。
- Pabilsag (パビルサグ)
- 伝承・国名: バビロニア伝承
- 概要: サソリの尾を持つ、射手のような怪物。
- Scorpion man (スコーピオン・マン)
- 伝承・国名: バビロニア伝承
- 概要: 旅人を守護する存在として語られる、サソリ男の怪物。
- Selket (セルケット)
- 伝承・国名: 古代エジプト伝承
- 概要: 蠍の女神。死と治癒を司る重要な存在として信仰された。
- Zaratan (ザラタン)
- 伝承・国名: アラビア伝承
- 概要: 巨大なカニで、島と見間違われるほどの大きさを持つとされる。
2. 犬・狼・熊系の生き物
A. 熊・獣の伝説
- Bjarndyrakongur (ビャルンドゥィラコンガー)
- 伝承・国名: アイスランド伝承
- 概要: 極めて珍しいホッキョクグマの目撃談から発展。頭に輝く角や頬の赤い斑点が特徴とされ、熊の王として語られる。
- Bugbear (バグベア)
- 伝承・国名: ケルト伝承(イギリスなど)
- 概要: 子供を食べるとされるホブゴブリン。恐怖と注意を呼び起こす存在として民話に登場。
- Callisto (カリスト)
- 伝承・国名: 古代ギリシア伝承
- 概要: ニンフが女神ヘラの呪いにより熊に変えられたという物語に登場する。後に星座「大熊座」として伝わる。
- Stiff Legged Bear (スティフ・レッグド・ベア)
- 伝承・国名: 北米先住民伝承
- 概要: 巨大で毛のない熊の怪物。初期の入植者たちの記録では、実在のマンモス説と重ねられることもあった。
B. 犬・狼系の伝説・神獣
- Adlet (アドレット)
- 伝承・国名: イトゥート(イヌイット)伝承
- 概要: 女性と犬との交わりから生まれた、犬人族の伝説。人を襲うとされ、部族間で恐れられた。
- Akhlut (アクルト)
- 伝承・国名: イトゥート(イヌイット)伝承
- 概要: オルカと狼のハイブリッド。陸上と海上の両方で狩りを行うとされる。
- Amarok (アマロック)
- 伝承・国名: イトゥート(イヌイット)伝承
- 概要: 孤高で巨大なオオカミの霊。夜間に一匹で狩りを行うと信じられている。
- Anubis (アヌビス)
- 伝承・国名: 古代エジプト伝承
- 概要: ジャッカルの頭を持つ死とミイラ作りの神。死者の魂を導く役割を持つ。
- Aralez (アラレズ)
- 伝承・国名: アルメニア伝承
- 概要: 天から降り、傷ついた戦士を蘇生させるとされる翼ある犬型の存在。守護霊的な役割を担う。
- Asena (アセナ)
- 伝承・国名: アルタイ/トルコ伝承
- 概要: 伝説の建国神話に登場する雌オオカミ。神話の祖先として、民の起源に結び付けられる。
- Axehandle Hound (アックスハンドル・ハウンド)
- 伝承・国名: 北米(アメリカ・カナダ)伝承
- 概要: 放置された斧の柄を食べるとされる犬型怪物。農村部での怪異として語られる。
- Black Dog / Barghest / Black Shuck / Grim (ブラック・ドッグ)
- 伝承・国名: イギリス、スコットランド伝承
- 概要: 地獄の使いとされる黒い犬。夜道での遭遇は不吉な予兆とされ、各地で異なる名称が伝わる。
- Beast of Gévaudan (ビースト・オブ・ジェヴォーダン)
- 伝承・国名: フランス伝承
- 概要: 18世紀フランス・ジェヴォーダン地方で実際に目撃されたとされる、人を襲う巨大な狼または狼型の怪物。
- Cerberus (ケルベロス)
- 伝承・国名: 古代ギリシア・ローマ伝承
- 概要: 冥界の門を守る三つ頭の犬。死者の世界と生者の世界を隔てる存在として神話に登場。
- Chupacabra (チュパキャブラ)
- 伝承・国名: ラテンアメリカ伝承
- 概要: 家畜の血を吸うとされる謎の生物。近年、各地で目撃情報が報告される。
- Cu Sith (ク・シス)
- 伝承・国名: スコットランド/アイルランド伝承
- 概要: 大型の黒い犬型幽霊。死の前触れや不吉な出来事と結び付けられる。
- Crocotta (クロコッタ)
- 伝承・国名: インド・エチオピア伝承
- 概要: 狼や犬に似た姿で、時にヒョウやヒョウ柄の特徴も併せ持つ怪物。欺瞞的な性質を持つとされる。
- Cynocephaly (サイノセファリー)
- 伝承・国名: 複数文化に見られる(古代ギリシアなど)
- 概要: 犬またはジャッカルの頭を持つ人型。異形の姿として民話や伝説に登場する。
- Dogs of Actaeon (アクタイオンの犬)
- 伝承・国名: 古代ギリシア伝承
- 概要: 狩人アクタイオンを自らの飼い主と認識し襲ったとされる犬たち。悲劇的な変身伝説として知られる。
- Fenrir (フェンリル)
- 伝承・国名: 北欧伝承
- 概要: 巨大な狼で、神々に恐れられる存在。神話の終末を告げるとされる。
- Gelert (ゲレルト)
- 伝承・国名: ウェールズ伝承
- 概要: 忠実な犬として愛されたが、誤解により殺されてしまったという悲しい伝説。
- Hellhound (ヘルハウンド)
- 伝承・国名: 世界各地(特に欧米伝承)
- 概要: 冥界や悪魔と結び付けられる超常的な犬。死や災厄の前触れとされる。
- Huli jing / Kitsune / Kumiho (フーリージン/キツネ/クミホ)
- 伝承・国名: 中国、日本、韓国の伝承
- 概要: 狐の精霊・妖怪。変身能力があり、魅惑的な姿で人間界に現れる。
- Huodou (フォードウ)
- 伝承・国名: 中国伝承
- 概要: 口から炎を噴く大黒犬。神話や民間伝承において、災厄や警告の象徴とされる。
- Kludde (クルッデ)
- 伝承・国名: ベルギー伝承
- 概要: 蝙蝠の翼や狼のような姿に変化するとされる、魔性を帯びた犬型怪物。
- Orthrus (オルトルス)
- 伝承・国名: 古代ギリシア伝承
- 概要: 二つの頭を持つ犬。ケルベロスの兄弟として語られることもある。
- Penghou (ペンホウ)
- 伝承・国名: 中国伝承
- 概要: 木の精霊として、黒い犬の姿で現れるとされ、独特の風味を持つ伝説。
- Psoglav (プソグラフ)
- 伝承・国名: ボスニア伝承
- 概要: 犬の頭と人間の体、さらには馬や鉄の歯を持つという奇形の怪物。
- Salawa (サラワ)
- 伝承・国名: 複数の伝承(詳細は地域により異なる)
- 概要: タイフォン的な獣として語られるが、詳細な記述は伝承ごとに異なる。
- Sigbin (シグビン)
- 伝承・国名: フィリピン伝承
- 概要: 夜間に現れるとされる不気味な犬型の怪物。家畜の失踪などと結び付けられる。
- Sky Fox (スカイ・フォックス)
- 伝承・国名: 中国伝承(およびその他の地域の伝承と混合)
- 概要: 空を飛ぶ狐とされ、神秘的な力や予兆をもたらす存在。
- Shug Monkey (シャグ・モンキー)
- 伝承・国名: イギリス伝承
- 概要: 犬と猿が合わさったかのような姿の怪物。迷い込んだ旅人に不思議な体験をもたらすとされる。
- Tanuki (タヌキ)
- 伝承・国名: 日本伝承
- 概要: 変身能力と人懐っこい性格で知られる狸の妖怪。さまざまな伝説や民話に登場する。
- Tulikettu (トゥリケットゥ)
- 伝承・国名: フィンランド伝承
- 概要: 炎をまとった毛を持つとされ、狩猟の成功や富をもたらすと信じられる。
- Vǎrkolak / Vukodlak (ヴァルコラク/ヴコドラク)
- 伝承・国名: スラヴ伝承
- 概要: 不死のヴァンパイア・ウェアウルフ。人間から狼へ変身する呪いとして語られる。
- Werewolf (ウェアウルフ)
- 伝承・国名: 世界各地(特に欧米伝承)
- 概要: 人間が呪いや月の満ち欠けによって狼に変身するという伝説。恐怖と悲劇の象徴として語られる。
コメント