鶏・雄鶏を象徴する伝説生物
- アレクトリオン(Alectryon / Greek)
ギリシャ神話の雄鶏。ヘーリオス(太陽神)の到来を告げる役割を担った鳥。 - 波山(ばさん / Basan / Japanese)
日本の妖怪で、火を吐く怪しい鶏。夜に「バサバサ」と音を立てて現れるとされる。 - コカトリス(Cockatrice)
鶏の頭を持つ竜・蛇の怪物。バジリスクと類似し、視線や息が致命的な毒とされる。 - ガリアの雄鶏(Gallic Rooster)
フランスの象徴として使われる雄鶏。勇気・警戒心・誇りを象徴する国民的シンボル。 - グリンカンビ(Gullinkambi / Norse)
北欧神話でヴァルハラに住む黄金の鶏。終末ラグナロクの始まりを告げる鳴き声を持つ。 - バルセロスの雄鶏(Rooster of Barcelos / Portugal)
ポルトガルの伝説に登場する奇跡の雄鶏。冤罪の旅人を救った象徴として知られる。 - サリマノック(Sarimanok / Philippine)
ミンダナオ島マラナオ族の伝説の霊鳥。鮮やかな装飾を持つ鶏で、富・幸運・王権の象徴。 - ヴィーゾプニル(Víðópnir / Norse)
北欧神話で世界樹ユグドラシルの上に座る雄鶏。世界の運命と密接に関わる霊鳥。
カラス・ワタリガラス系の伝説生物
- バッドブ(Badb / Irish)
アイルランドの戦いの女神。カラスの姿で戦場に現れ、死と運命を告げる存在。 - コロネー(Corone / Greek)
ギリシャ神話でポセイドンから逃れるためにカラスへ変えられた女性。 - フギンとムニン(Huginn and Muninn / Norse)
北欧神話のオーディンに仕える二羽のワタリガラス。世界中を飛び回って情報を届ける。 - クトゥク(Kutkh / Indigenous Russian)
ロシア先住民神話の創造に関わるワタリガラス。世界の成り立ちに深く関わる文化英雄。 - ナハトクラップ(Nachtkrapp / German)
ドイツ伝承の夜のカラスの怪物。夜出歩く子どもをさらうとされる恐ろしい存在。 - レインボー・クロウ(Rainbow Crow / Lenape)
レナペ族の伝承で、火を地上に持ち帰った英雄的なカラス。煙で羽が黒くなったと語られる。 - ラウム(Raum / Demonology)
悪魔学に登場する大いなる地獄の伯爵。カラスの姿で現れ、富の奪取や未来の洞察を行う。 - 三足烏(さんそくう / Three-legged Crow / East Asian)
太陽と関わる三本足のカラス。中国では「金烏(きんう)」として太陽の象徴とされる。 - 八咫烏(やたがらす / Yatagarasu / Shinto)
日本神道の三本足のカラスで、神の導きを象徴する。熊野神話で有名。 - トゥルガーク(Tulugaak / Inuit)
イヌイット創世神話のカラス神。世界に光をもたらした創造者。 - ワーング(Waang / Australian Aboriginal)
オーストラリア先住民神話のトリックスター・カラス。文化英雄として多くの物語に登場。
ワシ・鷲頭の霊鳥・怪鳥
- アイトーン(Aethon / Greek)
ギリシャ神話でプロメテウスを責め苦しめた鷲。毎日、彼の肝臓を食らう役割を担う。 - グリフィン(Griffin / Greek)
鷲の頭と翼、獅子の身体を持つ怪物。財宝や聖なる宝を守る守護獣として知られる。 - ヒッポグリフ(Hippogriff / Italian)
鷲の上半身と前脚、馬の下半身を持つ飛翔生物。詩人アリオストの物語で有名になった。 - フラカン(Huracán / Mayan)
マヤ神話の雷の鳥。メキシコ湾の下に棲むとされ、「ハリケーン」という語の語源となった。 - フレースヴェルグ(Hræsvelgr / Norse)
北欧神話の巨人で、鷲の姿をとり、羽ばたきによって風を起こすとされる。 - ポウカイ(Poukai / Māori)
ニュージーランドの怪鳥。巨大な猛禽で、人を襲うとされ、絶滅した巨大鳥が伝承化した説がある。 - シャーバーズ(Shahbaz / Persian)
ペルシア伝承の鷲神。イランの民を導き、ファラヴァハルを新たな地へ導いた霊的な守護鳥。 - 三頭鷲(さんとうわし / Triple-headed Eagle / Multi-cultural)
複数の文化や紋章に登場する三つの頭を持つ鷲。王権・監視・統治力の象徴として使われる。 - ウーチャウセン(Wuchowsen / Abenaki)
アベナキ族の四風の精霊のひとつ。山頂に住む巨大な鷲で、羽ばたきによって風を生み出す。 - ジズ(Ziz / Jewish)
ユダヤ伝承の巨大な霊鳥で、天空を覆うほどの大きさを持つ。しばしば巨大なグリフィンとして描かれる。 - ズー(Zu / Mesopotamian)
メソポタミア神話の神獣で、獅子の頭を持つ鷲。神々の象徴を奪ったことで知られる。
フクロウ・夜の鳥に関する伝説生物
- チクチャーニー(Chickcharney / Bahamas)
バハマの松林に現れる魔法のフクロウ。旅人の運命を左右し、敬意を払えば幸運をもたらすとされる。 - ニュクティメネー(Nyctimene / Roman)
ローマ伝承で女神ミネルウァによりフクロウへ変えられた王女。夜の鳥となり、人目を避けるようになった。 - オウルマン(Owlman / English)
イギリスの怪人で、フクロウのような翼と大きな目を持つ人型生物。アメリカのモスマンに比較される存在。 - シーリン(Sirin / Slavic)
スラブ神話の鳥女で、美女の顔を持つ鳴き声の魅惑的な鳥。歌声で男を死に誘うとされる。 - ストリックス(Strix / Greek)
ギリシャ伝承の人肉を食べるフクロウの怪鳥。夜に潜み、不吉の象徴とされる。
魚人・水棲の伝説生物
- 魚人(ぎょじん / Fish People / worldwide)
世界各地の神話に登場する半魚半人の種族。海底に住む知的種族として描かれることもある。 - 人魚・人魚男(にんぎょ・にんぎょおとこ / Mermaid & Merman / worldwide)
上半身が人間、下半身が魚の姿をした伝説の存在。海の歌声や予言、誘惑の力を持つとされる。 - 水の精霊(Water Spirit / worldwide)
世界各地の民間伝承に見られる水の守護者・霊的存在。川・湖・泉の化身として語られる。 - ウンディーネ(Undine / Paracelsus)
錬金術師パラケルススが記した水の元素精霊。美しい水の乙女として描かれ、人間と恋に落ちる物語が有名。 - イル・ベリエガ(Il Belliegha / Malta)
マルタの伝承に登場する怪物。ウナギのような体、カエルの舌、尾の先に手を持ち、井戸に近づいた子どもを食べる。 - 知恵の鮭(ちえのさけ / Salmon of Wisdom / Celtic)
ケルト神話の聖なる鮭。知識の泉の実を食べたことで世界の智慧を宿し、英雄フィン・マックールへ智慧を授けた。 - 鯱鉾(しゃちほこ / Shachihoko / Japanese)
虎の頭と鯉の体を持つ日本の妖怪。水を操り、建物の火災を防ぐ守護として城の屋根に飾られる。 - マグワンプ(Mug-wamp / Canadian)
カナダ・オンタリオ州テミスカミング湖に棲むとされる巨大チョウザメの怪物。ネイティブ伝承に由来する湖の怪生物。
海の怪物・水棲生物・水馬の伝説
- アスピドケローネ(Aspidochelone / Greek)
島と見間違うほど巨大なクジラ。船が上陸すると海に沈めてしまうとされる。 - バハムート(Bahamut / Arabic)
地球を支えるほど巨大なクジラの怪物。イスラム以前の古い起源を持ち、ベヒーモスと関連する説もある。 - 化鯨(ばけくじら / Bake-kujira / Japanese)
日本の海上に現れる亡霊クジラ。白い骨の姿で漂い、災いの前兆とされる。 - ケートス(Cetus / Greek)
イノシシや猟犬の頭を持ち、クジラ・イルカの胴体と扇状の尾を持つ海の怪物。アンドロメダ伝説に登場。 - デビル・ホエール(Devil Whale / English)
船を丸呑みするほど巨大で凶暴なクジラの化物。捕鯨伝承に見られる怪物像。 - ドブハルクー(Dobhar-chú / Scottish)
「王のカワウソ」と呼ばれる水陸両生の獣。凶暴で人を襲う伝承が残る。 - エンカンタード(Encantado / Brazilian)
アマゾンの川イルカが人間に化ける存在。音楽と誘惑の力を持つ妖しい精霊。 - グラシュティン(Glashtyn / Celtic)
海から現れる馬の姿の妖怪。時に人間を水へ引きずり込む。 - グヴェレシャピ(Gveleshapi / Georgian)
湖や川に棲む蛇クジラの怪物。洪水や水害を引き起こす原因とされた。 - ラヴェラン(Lavellan / Scottish)
毒を持つ水ネズミ(ウォーターボレー)の化物。百フィート離れた家畜すら害するという。 - マカラ(Makara / Hindu mythology)
前半身が陸上獣(鹿・象など)、後半身が魚や蛇の姿を持つ水の守護獣。神の乗り物にもなる。 - シーゴート(Sea Goat / Greek)
上半身がヤギ、下半身が魚の海獣。山羊座(カプリコーン)のモチーフ。 - セルキー(Selkie / Scottish)
アザラシの皮を脱ぎ捨てて人間の姿になる海の民。恋愛譚が多く残る。 - 水牛(みずうし / Water Bull / Scottish)
夜行性の水棲の雄牛。湖や沼に潜み、恐れられた存在。 - 水馬(みずうま / Water Horse / worldwide)
多くの文化に見られる水辺に棲む怪馬。人を背に乗せ水中へ引き込む習性がある。 - ケヴィル・ドゥール(Ceffyl Dŵr / Welsh)
ウェールズの水馬。霧の中に現れ、突然姿を消す不思議な存在。 - アク・ウィシュゲ(Each-uisge / Scottish)
海に棲む凶悪な水馬。背に乗った者を皮ごと食い尽くすとされる。 - エンバル(Enbarr / Irish)
海神マナナンの愛馬。海と陸の双方を自在に駆ける能力を持つ。 - ヒッポカンパス(Hippocampus / Greek)
上半身が馬、下半身が魚の海馬。ポセイドンの従者として知られる。 - イクチオケンタウロス(Ichthyocentaurs / Greek)
上半身が人間、前脚は馬、尾は魚の海のケンタウロス。海の知者として描かれる。 - ケルピー(Kelpie / Scottish)
スコットランドの湖に現れる水馬。美しい姿で人を誘い、水中へ引き込む。 - モルヴァルク(Morvarc’h / Breton)
波の上を疾走できる伝説の馬。ブリテンの英雄に付き従った。 - ニクシー(Nixie / Germanic)
水へ誘う水の妖精。馬の姿をとることもある変身精霊。 - ナックラヴィー(Nuckelavee / Orcadian)
皮膚のない恐るべき海馬の悪魔。毒の息で病を広げる海洋の死霊。 - ナグル(Nuggle / Scottish)
いたずら好きな水馬。危険性は低いが人を困らせる小悪魔的存在。 - タンジー(Tangie / Scottish)
海藻に覆われた姿の水馬。変身能力を持ち、旅人を驚かせる。
コウモリ系・闇の精霊の伝説生物
- バラヤング(Balayang / Australian Aboriginal)
オーストラリア先住民神話のコウモリの神で、創造神ブンジルの兄弟。暗闇と影の力を象徴する。 - カマソッツ(Camazotz / Mayan)
マヤ神話のコウモリの怪霊。冥界の王に仕える恐るべき存在で、夜・死・生贄と結びつく。 - レウトギ(Leutogi / Polynesian)
サモアの伝承に登場する王女。火あぶり刑からコウモリの群れに救われ、後にコウモリの精霊となった。 - ミニュアデス(Minyades / Greek)
ディオニュソスの祭りを拒んだため、ヘルメスによってコウモリに変えられた三姉妹。 - チニミン(Tjinimin / Australian Aboriginal)
オーストラリア先住民の神話に登場する祖先存在。コウモリの姿で民を導いたとされる。 - ヴェータラ(Vetala / Hindu)
死体に憑依し操る吸血性の霊的存在。夜の墓地に現れ、妖術と不死を象徴する。
熊に関する伝説生物
- バグベア(Bugbear / Celtic)
ケルト伝承の子どもを食べるホブゴブリン(妖怪)。名前は「熊のように恐ろしい怪物」という意味を持つ。 - カリスト(Callisto / Greek)
ギリシャ神話のニンフ。ヘラによって熊に変えられ、その後天に上げられて「おおぐま座」になった。 - 突足熊(つっぱりぐま / Stiff-Legged Bear / Native American)
イロコイ族・アルゴンキン族に伝わる巨大で毛のない熊の怪物。動きがぎこちなく、マンモスなど絶滅動物がモデルになった可能性がある。
犬・狼・狐・獣人の伝説生物
- アドレット(Adlet / Inuit)
女と犬の子として生まれた犬人族。人間を襲うため追放されたとされる。 - アフルート(Akhlut / Inuit)
狼とシャチが融合した怪物。陸でも海でも狩りを行う凶暴な存在。 - アマロック(Amarok / Inuit)
イヌイット伝承の巨大な孤独の狼。夜に一人で歩く者を襲うとされる。 - アヌビス(Anubis / Egyptian)
ジャッカル頭の冥界の神。ミイラ作りや死者の魂の保護を司る。 - アラレズ(Aralez / Armenian)
天から舞い降り、倒れた戦士の傷を舐めて蘇らせる有翼の犬。 - アセナ(Asena / Altai/Turkic)
テュルク民族の始祖を産んだ雌狼。民族創世伝説の中心的存在。 - アックスハンドル・ハウンド(Axehandle Hound / North American)
斧の柄そっくりの体を持つ犬。斧の柄を食べて生きると噂される笑話的伝承。 - 黒犬(くろいぬ / Black Dog / British)
“バーゲスト”“ブラックシャック”とも呼ばれる悪魔犬。死や不吉の前兆とされる。 - ジェヴォーダンの獣(Beast of Gévaudan / French)
18世紀フランスで多数の人を襲った人食い狼(実在説あり)。巨大な狼として恐れられた。 - カーバンクル(Carbuncle / Chilote)
小型の光る犬として描かれることもある魔獣。幸運や隠された宝の象徴。 - ケルベロス(Cerberus / Greek/Roman)
冥界の門を守る多頭犬。オルトロスの兄弟で、脱走者を許さない守護獣。 - チュパカブラ(Chupacabra / Latin American)
家畜の血を吸うとされる怪物。コウモリ・犬・コヨーテに似ることもある。 - クーシー(Cu Sith / Cusith / Irish, Scottish)
緑の毛を持つ巨大な妖精犬。死の前兆として現れる。 - クロコッタ(Crocotta / Ancient legends)
人間の声を真似て誘い込む犬狼獣。インドやエチオピアに棲むとされた。 - キノケファリ(Cynocephaly / worldwide)
犬の頭を持つ人型種族。古代では実在すると信じられた。 - アクタイオンの猟犬(Dogs of Actaeon / Greek)
鹿に変えられた主人アクタイオンを自分たちで引き裂いた猟犬たち。 - ファイリニス(Failinis / Irish)
多くの超能力を持つ伝説の犬。魔法・治癒・追跡など様々な力を持つ。 - フェンリル(Fenrir / Norse)
北欧神話の巨狼。ラグナロクでオーディンを殺す運命を持つ怪物。 - ゲラート(Gelert / Welsh)
主人に誤って殺された忠犬。後に忠誠の象徴として語り継がれる。 - ヘルハウンド(Hellhound / worldwide)
死や冥界に関する超自然の黒犬。火を吹く者や門番役も多い。 - 火犬(かけん / Huodou / Chinese)
口から炎を吐く黒犬の怪物。災いと火の象徴。 - フコ・キャプコ(Hvcko Capko / Seminole)
「長耳」「臭う狼」。腐敗臭を放ち、長時間吸うと病気を引き起こす巨大な狼。 - クラッド(Kludde / Belgium)
魔女の灰から生まれた悪魔犬。コウモリの翼、鳥のくちばし、熊の爪を持つ。 - オルトロス(Orthrus / Greek)
二つの頭を持つ犬。ケルベロスの兄弟で、巨人の番犬として登場する。 - パパメル(Papa-mel / Papamel / Amazonian)
アマゾンのクルピラに従う犬。森の守り手として語られる。 - 彭候(ほうこう / Penghou / Chinese)
木の精霊が黒犬の姿で現れたもの。肉は犬に似て美味と記される。 - プチクリュー(Petitcrieu / Arthurian)
アーサー王物語系の妖精犬。高貴な者にのみ姿を見せる。 - プソグラヴ(Psoglav / Bosnia)
犬の頭、馬の脚、鉄の歯、一つ目を持つ怪物。人を食う恐ろしい存在。 - サラワ(Salawa / Egyptian lore)
セト神のトーテム動物で「テュフォン獣」。細長い犬のような姿。 - シグビン(Sigbin / Philippine)
フィリピンに伝わる怪犬で、逆さ歩きし血を吸う。影がないとされる。 - シュグ・モンキー(Shug Monkey / British)
犬と猿の合成のような怪物。ケンブリッジシャー地方の怪奇伝承。 - 狸(たぬき / Tanuki / Japanese)
化ける能力をもつ日本の動物の霊。いたずら好きで人を惑わせる。 - ヴァルコラク(Vǎrkolak / Vukodlak / Slavic)
吸血鬼であり人狼でもある不死の怪物。文明圏によって意味が変化する。 - 人狼(Werewolf / worldwide)
人間が狼へ変身する呪い・病を持つ者。満月に変身する伝承が多い。

コメント