世界には、国や文化の数だけ「神話生物」や「伝説の怪物」が存在します。古代文明の神々に仕える神獣、自然を司る精霊、恐れの象徴として語り継がれた怪物たち――それらは、人々が世界を理解しようとして生み出した“物語の原型”とも言える存在です。
本記事では、世界の神話生物一覧を特徴・意味・由来をわかりやすくまとめました。
あなたが探している神話生物・伝説の怪物は、きっとこの一覧の中に見つかるはずです。
From Wikipedia, the free encyclopedia:List of legendary creatures by type
蜘蛛・サソリ 節足動物系
- カーバンクル(Carbuncle / Chilote)
南米チリ・チロエ島に伝わる生物で、緑〜赤色に輝くホタルのような光を放つ存在とされる。 - カルキノス(Karkinos / Greek)
ギリシャ神話に登場する巨大な蟹。ヘラクレスとヒュドラの戦いに加勢し、死後に星座「かに座(Cancer)」となった。 - 黄金を掘る蟻(Gold-digging Ant / Greek)
ヘロドトスの記録に登場する砂金を集める巨大な蟻。実在のヒマラヤマーモットの行動が誤解された説が有力。 - ケプリ(Khepri / Ancient Egyptian)
太陽を空へ押し上げる聖なるスカラベの姿の神。古代エジプトの再生と太陽の象徴。 - モスマン(Mothman / American cryptid)
人型で蛾のような大きな翼と赤い目を持つ怪物。不吉の前兆として現れるとされる。 - ミュルメコレオン(Myrmecoleon / Christian)
アリとライオンが混ざった象徴的な矛盾生物で、古い文献に登場する寓話的な存在。 - ミュルミドーン(Myrmidons / Greek)
ゼウスが蟻から作ったとされる戦士の一族。英雄アキレウスに仕えたことで知られる。 - パビルサグ(Pabilsag / Babylonian)
サジタリウスに似た姿でサソリの尾を持つ戦士の怪物。星座との関連も示される。 - サソリ男(Scorpion Man / Babylonian)
上半身が人、下半身がサソリの守護者。旅人を導く存在としてギルガメシュ叙事詩に登場する。 - セルケト(Selket / Ancient Egyptian)
古代エジプトのサソリの女神。毒からの守護や治癒、死者の保護を司る。 - ザラタン(Zaratan / Arabic)
島と間違われるほどの巨大なカニ(または海亀)。船が誤って上陸する伝承で知られる。 - アナンシ(Anansi / West African)
西アフリカのトリックスター蜘蛛。知恵と悪戯の象徴として語られる。 - アラクネ(Arachne / Greek)
女神アテナに挑み罰として蜘蛛に変えられた織物の名手。傲りへの戒めとして知られる。 - チャフィー・スパイダー(Chaffee Spider / American cryptid)
コロラド州チャフィーに伝わる巨大な洞窟グモ。開拓民が害虫駆除や番犬代わりに使ったが、後に姿を消したという。 - イクトミ(Iktomi / Lakota)
ラコタ族の蜘蛛のトリックスター神。いたずら好きで、人に教訓を与える存在。 - 絡新婦(じょろうぐも / Jorōgumo / Japanese)
美しい女性に化けて男を絡め取る日本の妖怪。蜘蛛の姿に変わり、人を捕らえるとされる。 - 土蜘蛛(つちぐも / Tsuchigumo / Japanese)
地底に潜む巨大な蜘蛛の怪物。討伐譚に登場し、人々を脅かす存在として語られる。
伝説の鳥
- アバビル(Ababil / Islamic)
イスラーム伝承に登場する奇跡の鳥。神の命を受けて敵軍に石を降らせたとされる。 - アダルナ鳥(Adarna / Philippine)
フィリピンの物語に登場する七色の霊鳥。歌声で眠りを誘い、涙に治癒の力があり、時に人を石に変える。 - アヴァレリオン(Avalerion / English)
ワシに似た伝説の鳥で、同時期に一つのつがいしか存在しないと信じられた希少な鳥。 - アリカント(Alicanto / Chilean)
チリ伝承に登場する光る羽を持つ鳥。金や銀を食べる習性があり、羽が金属の色に輝くという。 - アンカー(Anqa / Arabian)
アラビア伝承の巨大で神秘的な雌鳥。時に不吉や奇跡を象徴する存在として語られる。 - アンズー(Anzû / Mesopotamian)
メソポタミア神話に登場する巨大な怪鳥。火と水を吐き、神々の象徴を盗んだことで知られる。 - ベア・フロンテッド・フッドウィンク(Bare-fronted Hoodwink / Cryptid)
“見えそうで見えない”という能力を持つ架空の鳥。鳥類学者を皮肉るために創作されたクリプティッド。 - カラドリウス(Caladrius / Roman)
ローマ伝承の白い霊鳥。病人の顔を覗き、その視線で生死を判断し、病を吸い取って癒すとされた。 - カルキドリ(Chalkydri / Jewish)
ユダヤ伝承に登場する天界の鳥。太陽とともに現れ、その光を象徴する聖なる存在。 - チャムロシュ(Chamrosh / Persian)
ペルシア神話の犬の胴体に鳥の頭と翼を持つ霊獣。聖樹の実を世界へ運ぶ役割を果たす。 - シナモンバード(Cinnamon Bird / Greek)
ギリシャ伝承に登場するアラビアの鳥。シナモンで巣を作るとされ、香料の起源伝説として語られた。 - デビル・バード(Devil Bird / Sri Lankan)
スリランカの伝承に登場する叫び声の恐ろしい鳥。死の前兆として現れるという噂がある。 - ガガーナ(Gagana / Russian)
鉄のくちばし、銅の爪を持つ奇跡の鳥。ロシアの民間伝承で神秘的な役割を担う。 - ガンダベールンダ(Gandabherunda / Hindu)
二つの頭を持つ強大な霊鳥。破壊神シヴァの象徴としても扱われ、圧倒的な力を示す。 - ガルーダ(Garuda / Hindu)
ヒンドゥー神話の霊鳥の王。全ての鳥の祖であり、ヴィシュヌ神の乗り物として知られる。 - ハカワイ(Hakawai / Māori)
マオリ伝承に登場する、姿はほとんど見られず音だけが聞こえる不思議な鳥。後に一部は実在の鳥の求愛音が元と判明。 - フドフド(Hudhud / Islamic)
イスラーム伝承の鳥で、預言者ソロモンに仕えた使者。知恵と洞察力の象徴とされる。 - 精衛(せいえい / Jingwei / Chinese)
海を埋めるために小枝や石を運び続ける不屈の鳥。中国神話で努力と執念の象徴。 - 鸞(らん / Luan / Chinese)
盾を携え、胸に蛇を巻き、足で蛇を踏む霊鳥。吉祥の象徴とされる中国の神聖な鳥。 - ミノカワ(Minokawa / Philippine)
フィリピン神話の巨大な鳥で、ドラゴンのような姿。太陽や月を食べて日食・月食を起こすとされる。 - 九頭鳥(きゅうとうちょう / Nine-headed Bird / Chinese)
九つの頭を持つ霊鳥で、鳳凰の祖先ともされる。古代楚の部族のトーテムでもある。 - ウーズラム・バード(Oozlum Bird / English)
小さな円を描いて飛び続け、最後には自分の尻に消えるという風刺的な鳥。ユーモア文学の象徴。 - パモラ(Pamola / Abenaki)
アベナキ伝承の鳥とムースの混ざった霊。寒気や嵐を引き起こす守護霊的存在。 - 鵬(ほう / Peng / Chinese)
巨大な魚が変化して生まれる大鳥。世界の海を越えて飛ぶという壮大な中国神話の存在。
伝説の鳥(フェニックス系・霊鳥系)
- フェニックス(Phoenix / Greek)
ギリシャ神話の不死鳥。炎に包まれて死に、再び蘇る再生・不死の象徴。 - ベンヌ(Bennu / Egyptian)
エジプト神話の再生を司る鳥で、自らを創造した神聖な霊鳥。フェニックスの原型と考えられる。 - ホル(Chol / Biblical)
旧約伝承に登場する再生の鳥。死後に蘇る能力を持つとされ、フェニックスとしばしば同一視される。 - 火の鳥(Firebird / Slavic)
スラブ神話の光り輝く霊鳥。捕まえると美をもたらす一方で、不運や災いを呼ぶ両義的な存在。 - 鳳凰(ほうおう / Fenghuang / Chinese)
中国神話の霊鳥の王。平和・繁栄・調和の象徴で、全ての鳥を統べる存在とされる。 - フーマー鳥(Huma Bird / Persian)
ペルシアの霊鳥。空高く飛び続け地上に降りず、影が触れた者に幸運と王位をもたらすとされる。 - コンル・トグル(Konrul & Toghrul / Turkic)
テュルク系伝承に登場する霊鳥。王権や戦勝を象徴し、導きの鳥として扱われる。 - パスクンジ(Paskunji / Georgian, Caucasus)
ジョージア(コーカサス)の冥界に住まう不死鳥。死後の道に現れる蛇を倒し、英雄を助ける霊鳥。 - 朱雀(すざく / Vermilion Bird / Chinese)
中国の四神の一つで、南方・夏・火を司る赤い聖鳥。 - パイアサ(Piasa / Native American)
アメリカ・イリノイの崖に描かれた怪鳥。翼を持つ巨大な怪物として伝承が残る。 - 青鳥(せいちょう / Qingniao / Chinese)
西王母に仕える青または緑の霊鳥。神々の使者として重要な役割を持つ。 - ラー(Ra / Ancient Egyptian)
太陽神ラー。しばしば隼の姿または隼の頭部を持つ神として描かれる。 - 雨鳥(Rain Bird / Native American)
ネイティブアメリカンの伝承で雨を呼ぶ鳥。豊穣や気象を司る精霊的存在。 - ラローク(Raróg / Slavic)
スラブ地方の火の霊で、火のように渦巻く隼の姿をとる。富と災いの両面を持つ。 - ロック鳥(Roc / Arabian)
アラビアンナイトにも登場する巨大な猛禽。象を掴むほどの大きさを誇る伝説の怪鳥。 - 商羊(しょうよう / Shangyang / Chinese)
片足で跳ねる神鳥で、雨を予兆する「雨鳥」。雨乞いや気象変化の象徴。 - シェドゥ(Shedu / Mesopotamian)
メソポタミア神話の守護霊。一部伝承では鳥の翼を持ち、ラマッスの男性版として知られる。 - シームルグ(Simurgh / Persian)
ペルシア神話の不死鳥。巨大で賢く、植物や薬、世界の知識に通じる善なる霊鳥。 - ステュムパリデスの鳥(Stymphalian Birds / Greek)
ギリシャ神話に登場する人食いの怪鳥。ヘラクレスの十二功業の一つの相手として有名。 - トト(Thoth / Ancient Egyptian)
月・知識・芸術を司る神。典型的には朱鷺(とき)の頭を持つ姿で描かれる。 - 三足鳥(Three-legged Bird / various cultures)
世界各地に見られる三本脚の太陽の鳥。中国では「金烏(きんう)」、日本では「八咫烏(やたがらす)」として知られる。 - サンダーバード(Thunderbird / Native American)
嵐・雷を起こす精霊鳥。北西海岸・五大湖・大平原など多くの部族で崇拝された巨大霊鳥。 - トゥルル(Turul / Hungarian)
ハンガリーの建国神話に登場する猛禽の霊鳥。国の守護と王家の象徴として現在も重要視される。 - ヴェズルフォルニル(Veðrfölnir / Norse)
北欧神話で世界樹ユグドラシルの頂上にいる鷲の頭上に止まる鷹。風の象徴とされる。 - ヴクブ・カキシュ(Vucub Caquix / Mayan)
マヤ神話の鳥の悪霊。自身を太陽と偽り、英雄双子に倒される傲慢の象徴。 - ワンプム・バード(Wampum Bird / Native American)
巨大なサギの姿で、羽の代わりに貝殻の鎧を持つ鳥。戦いや儀式の象徴。 - 鴆鳥(ちんちょう / Zhenniao / Chinese)
毒鳥として有名で、体の毒が触れたものを死に至らせる。古代中国の恐ろしい霊鳥。
人面鳥・鳥人・ハーピー系の伝説生物
- アルコノスト(Alkonost / Slavic)
女性の頭部と鳥の身体を持つ霊鳥。美しい歌声で人々の心を惑わせる。 - ガマユーン(Gamayun / Slavic)
女性の顔を持つ預言の鳥。未来や神々の知識を語る神聖な存在。 - 倶冥鳥(ぐみょうちょう / Gumyōchō / Yōkai)
二つの顔を持つ人面鳥の妖怪。仏教や日本伝承に現れ、吉兆の象徴となることもある。 - ハーピー(Harpy / Greek)
ギリシャ神話の有翼の女怪。醜い鳥女で、食物や人を奪う風の精霊。 - アエロ(Aello / Greek)
名は「嵐」を意味し、ハーピーの一体。荒々しい風の象徴。 - オキュペテ(Ocypete / Greek)
名は「速い翼」を意味するハーピー。高速で空を駆け抜ける風の精霊。 - ケライノ(Celaeno / Greek)
名は「暗い女」を意味するハーピー。厄災や暗い予兆を象徴する。 - ポダルゲ(Podarge / Greek)
名は「すばしこい足」を意味するハーピー。迅速な風そのものを象徴する。 - ホルス(Horus / Ancient Egyptian)
エジプトの天空神。隼の頭を持つ姿で描かれ、王権の守護神として崇拝された。 - 人面鳥(いんめんじょ / Inmyeonjo / Korean)
韓国伝承の人の顔を持つ鳥。吉兆を告げる霊鳥として描かれる。 - いつまで(Itsumade / Japanese)
怪異の鳥で、人の顔と長い体を持ち、不吉や災いを告げる鳴き声を発する。 - 迦陵頻伽(かりょうびんが / Kalavinka / Buddhist)
人の頭を持ち、鳥の身体と長い尾を持つ不死の霊鳥。天上界で美しい歌声を響かせる。 - 迦楼羅(かるら / Karura / Japanese, Buddhist)
人の身体に鳥の頭を持つ神聖な存在。龍を捕らえる力を持つ守護神。 - 緊那羅(きんなら / Kinnara / Buddhist)
半人半鳥の天界の楽士。音楽と調和の美を象徴する。 - ラマッス(Lamassu / Mesopotamian)
人の頭、獅子または雄牛の身体、鳥の翼を持つ守護神。宮殿や都市の守り手として置かれた。 - セイレーン(Siren / Greek)
鳥の身体を持つ歌姫の怪物。魅惑の歌声で船人を惑わせる。 - アケロイス(Achelois / Greek)
「痛みを和らげる者」を意味する名を持つ癒しの女神で、セイレーンの一族に分類されることもある。 - アグラオノエ(Aglaonoe / Greek)
アケローオスの娘で、テルプシコラの子。セイレーンの一柱とされる。 - アガラオペ(Agalaope / Greek)
「輝く声を持つ女」を意味する名を持つセイレーン。歌声の力が強い。 - レウコシア(Leucosia / Greek)
名は「白」を意味するセイレーン。メルポメネ、またはテルプシコラの娘とされる。 - リゲイア(Ligeia / Greek)
「澄んだ音」を意味する名のセイレーン。透き通る歌声を持つ。 - パルテノペ(Parthenope / Greek)
名は「乙女の声」を意味し、英雄に恋して身を投げた伝承も残るセイレーン。 - ピシノエ(Pisinoe / Greek)
セイレーンの一柱で、厄災を呼ぶ歌声を持つとされる。 - テリクシノエ(Thelxinoë / Greek)
「心を魅了する者」を意味する名を持ち、特に催眠的な歌声を持つセイレーン。 - 白鳥の乙女(Swan Maiden / Multi-cultural)
さまざまな文化に見られる鳥女。白鳥の羽衣によって人間の女性と鳥の姿を行き来する。 - 天狗(てんぐ / Tengu / Japanese)
日本の妖怪で、鳥と人の特徴を併せ持つ。高い武芸と霊性を持ち、山の守護者ともされる。

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