時間とともに薄れる火を表すロマンス諸語
スペイン語・ポルトガル語には、燃え盛る瞬間よりも「余熱」や「消え際」を繊細に捉える語が多くあります。炎が細くなり、灰が静かに残るまでの移ろいを表す語を中心に選びました。
- Ascua — アスクア|スペイン語
熾火(炎はないが、赤く残る燃えさし)。見えにくいのに確かに熱を抱えるところが、消えかけの情感に重なります。 - Rescoldo — レスコルド|スペイン語
灰の下に残る小さな熾火。完全には消えない温度が、名残の気配を静かに支えます。 - Ceniza — セニーサ|スペイン語
灰。燃焼の終点としての淡さがあり、余韻だけが手元に残る感じを伝えます。 - Chispa — チスパ|スペイン語
火花。ほんの一瞬だけ跳ねる光が、記憶に刺さる小さな出来事のように映ります。 - Pavesa — パベーサ|スペイン語
燃える物から飛び、やがて灰になる軽い燃えかす。儚さがそのまま語感に宿ります。 - Apagarse — アパガルセ|スペイン語
消えていく(自動詞的に「消える」も含む)。火や光が弱まり、終わりへ向かう過程そのものを言い表せます。 - Mortecino — モルテシーノ|スペイン語
低く弱い、消え入りそうな(光など)。炎が細り、部屋の明るさが落ちるような「息の浅い光」を連想させます。 - Resplandor tenue — レスプランドール・テヌエ|スペイン語
かすかな輝き。強い光ではなく、残光のように続く明るさに合います。 - Borralho — ボハーリョ|ポルトガル語
灰をまとった熾(おき)/熱い灰。灰の下で生きている火の気配が、静かな余熱を表します。 - Cinza — シンザ|ポルトガル語
灰。さらりと舞う質感が、終わりの静けさと距離感をつくります。 - Brasido — ブラジード|ポルトガル語
熾火のひとかたまり/熾火の熱。残っている熱量そのものに焦点が当たり、火の芯が感じられます。 - Luz mortiça — ルス・モルティッサ|ポルトガル語
ほとんど消えそうな弱い光。灯りが夜に溶けていく場面に似合います。 - Lume — ルーメ|ポルトガル語
火/灯り。燃え盛るよりも、暮らしの中の小さな火の気配として使われる語です。 - Borrajo — ボラホ|スペイン語
残り火・熾火。火勢が衰え、熱だけが静かに残った状態を指します。 - Tizón — ティソン|スペイン語
半ば燃えた薪や木片。炎が消えたあとも、黒さと熱を宿す火の名残です。 - Pabilo — パビロ|スペイン語
ろうそくの芯。火が弱まり、光が消える直前に残る中心部分を表します。 - Tição — ティサォン|ポルトガル語
燃え残った薪・炭。炎を失いながらも、まだ熱を抱える火片です。 - Bruxulear — ブルシュレアール|ポルトガル語
弱い光が揺らめくこと。消えかけの火や灯りの不安定な明滅を示します。 - Tremeluzir — トレメルジール|ポルトガル語
震えるようにかすかに光ること。細くなった炎や頼りない灯りに使われます。 - Lampejo — ランページョ|ポルトガル語
一瞬の弱い光・きらめき。消え際に残る、わずかな光の名残を表します。
神話的に消えゆく炎を示す古語・伝承語
神話や古い伝承の中で、終わりを迎える火や光を示してきた言葉です。象徴性が強く、物語の終章や転換点に静かな深みを与えます。
- glóð — グロース|古ノルド語
熾火・赤熱した燃えさし。火そのものが弱まり、熱だけが残る段階を指す語です。 - glēd — グレード|古英語
燃える炭・熾火。炎よりも「赤く息づく火種」を思わせる語です。 - blæse — ブレーセ|古英語
炎・火勢(または松明)。揺らぐ光そのものを名指す、古い語形です。 - ge-meltan — ゲメルタン|古英語
溶ける/溶けて消える。火が形を奪い、輪郭がほどけていく終わり方に重ねやすい動詞です。 - favilla — ファウィッラ|ラテン語
熱を含む灰・燃えさし(熾灰)。冷えた灰より「まだ温かい終わり」を帯びます。 - prūna — プルーナ|ラテン語
燃える炭・熾火。火の名残が赤く脈打つ一点を示す語です。 - scintilla — スキンティッラ|ラテン語
火花。消えゆく火が最後に放つ、短い閃きのような光を表せます。 - cinis — キニス|ラテン語
灰(冷えた灰として扱われやすい語)。燃え尽きたあとの静けさや、残滓としての余韻に向きます。 - ignis — イグニス|ラテン語
火。炎や熱の中心を指す基本語で、強い火から、弱い火の「灯り」まで幅広く受け止められます。 - Neisti — ネイスティ|古ノルド語
火花。闇に溶ける直前の一瞬のきらめきを示す語。 - Bǣl — バール|古英語
火・炎。とくに葬送や終焉と結びつく火を含意する語。 - Bryne-welm — ブリュネ・ウェルム|古英語
燃え立つ火勢。高まりの果てに消えていく炎の流れを想起させる複合語。 - Carbo — カルボー|ラテン語
炭・燃える炭。炎が去った後に残る、黒く熱を宿す核。 - Cineres — キネレース|ラテン語
灰(複数形)。燃え尽きた後に広がる痕跡としての灰。 - Luaith — ルア|アイルランド語
灰。完全に燃え終えた後の、軽く静かな残滓を表す語。
夜と静寂に溶ける火を表す詩的な外国語
夜の闇に溶け込むように消える炎を思わせる語を集めました。光が失われた後の静けさまで含めて描ける表現です。
- Afterlight — アフターライト|英語
日没後の薄明かりや、強い光のあとに残るかすかな光を指す語。消えた後に残る余韻としての明るさを含みます。 - Afterglow — アフターグロウ|英語
日没後に空に残る赤み・淡い光を指す語。光が遠ざかり、静けさへ移る時間帯の気配を帯びます。 - Dim glow — ディム・グロウ|英語
ほの暗い輝き。闇に沈みながらも、わずかに存在を伝える光を表します。 - Feu mourant — フー・ムーラン|フランス語
「死にゆく火」。燃え尽きる直前の火を指す定着した言い回しで、終わりへ向かう静かな時間を描けます。 - Lueur morte — リュール・モルト|フランス語
「死んだ光」。輝きが失われたあとの、冷えた静けさや気配だけが残る感じを含みます。 - Fioca luce — フィオーカ・ルーチェ|イタリア語
「かすかな光/薄い明かり」。見えそうで見えない程度の弱い光を表し、夜の静けさとよくなじみます。 - Luce che si spegne — ルーチェ・ケ・スィ・スペーニェ|イタリア語
「消えていく光/消えるところの光」。灯りがふっと落ちる直前の移ろいを、動きのある形で表せます。 - Llama apagada — ヤマ・アパガーダ|スペイン語
「消えた炎」。すでに火が消えた後の静けさを強調しやすい表現です。 - Brasa moribunda — ブラサ・モリブンダ|スペイン語
「死にかけの熾火(おきび)」。火そのものではなく、残り火が静かに弱っていく場面に似合います。 - Último resplandor — ウルティモ・レスプランドール|スペイン語
「最後の輝き」。消える直前の一瞬の明るさを、穏やかに切り取る言い回しです。 - Nachglimmen — ナハグリメン|ドイツ語
「(火などが)あとで弱く光り続けること/余熱でほのかに光ること」。炎の後の静かな明滅に焦点が合います。 - Gloaming — グローミング|英語
夕暮れ・薄闇。明るさが静かに失われていく時間帯そのものを指します。 - Glimmer — グリマー|英語
かすかな光、ほのかなきらめき。闇の中にわずかに残る存在感を表します。 - Rescoldo — レスコルド|スペイン語
灰の中に残る熾火(おきび)。炎は消えても、静かに熱と光が残る状態を指します。 - Brasa — ブラサ|スペイン語
赤く焼けた炭・熾火。燃え盛る火ではなく、沈んだ熱と弱い光を思わせます。 - Nachglühen — ナハグリューエン|ドイツ語
消えた後に余熱でほのかに光ること。火の終わりに残る静かな明滅を表します。

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